転生したのに0レベル
〜チートがもらえなかったので、のんびり暮らします〜


402 大変だ!



 バリアンさんたちが戻ってきたって事で、僕たちはイーノックカウに帰る事にしたんだ。

「なるほど、ベニオウの実を採取した後に登るための棒やはしごが残されていなかったのはこういう理由だったのか」

 だからいつも通り登り棒を材料にして石の箱をいっぱい作ってったんだけど、そしたらそれを見ったバリアンさんが感心したようにそう言ったんだよね。

「うん、そうだよ。だって入れ物が無いと、ベニオウの実を持って帰れないもん」

「確かに。マジックバッグでも持っているのなら話は別だが、そうでなければクッションになる干し草と一緒に詰めるための箱は絶対に必要だな」

 そう言いながらバリアンさんは僕が作ったばっかりの箱を一個持ってみたんだけど、

「軽っ!? これ、さっきの棒を材料にしてるって事は、材料は石だよな。でも街で使われている木箱より軽いぞ」

 そしたら思ったより軽かったのか、持ち上げたりひっくり返したりしてどうなってるのか調べ始めたんだよね。

 だから僕、何でそんなに軽いのかを教えてあげたんだ。

「あのね、これはベニオウの実を入れるためにしか使わないから、木箱みたいに丈夫にしなくてもいいでしょ? だからすっごく薄く作った石の板でできてるんだよ。すごいでしょ」

「なるほど。言われてみれば持ち手として出っ張りができているところ以外は、驚くほど薄くできてるな」

 石はとっても硬いけど、薄く作るとどっかにぶつけただけで簡単に割れたりかけたりしちゃうんだよね。

 だからずっと使うつもりだとダメなんだけど、今回みたいにベニオウの実を街に運ぶだけにしか使わないんだったら薄く作れば作るほど軽くなっていいんだ。

「それじゃあ僕、どんどん箱を作ってくから、みんなはそれに干し草とベニオウの実を詰めてって」

「ああ、それは構わないが……こんなにいっぱいの実を、どうやって街まで運ぶつもりだ? 軽い箱を作ったと言っても、かなりの重さになるだろう?」

「それは大丈夫だよ。だって僕、フロートボードの魔法が使えるもん」

 バリアンさんはフロートボードの魔法を知ってたみたいで、それだったら詰め終わった箱は積んでいった方がいいなってパーティーメンバーに指示を出したんだよ。

 でね、ベニオウの実の箱詰めが全部終わって僕が積み上げた箱の下にフロートボードを出すと、早速その石の箱を軽く押してみたんだ。

 そしたらフロートボードの上には石の箱がいっぱいのってるのに、スゥーって簡単に動いたもんだからびっくり。

 僕の方を見て、こう聞いてきたんだよね。

「ルディーン君。この箱の上に、ジャイアントラットを載せても大丈夫か?」

「うん。それくらいだったらへっちゃらだよ」

「そうか。おい、エルシモ。ルディーン君のお許しが出たからそいつをこの上に載せて、魔道具を止めろ。ここからイーノック悪まででも、かなりの魔力を消費するはずだからな」

 そう言えばバリアンさんたちが使ってる魔道具は、僕んちのと違って魔石の魔力を使いきっちゃったら新しいのを買わないとダメだもん。

 でも僕のフロートボードは一度出しちゃったらもうMPは使わなから、載っけられるだけ載っけた方がいいよね。


 準備ができたって事で、イーノックカウへ向かって出発!

 僕、登りだった行きと違って帰りはずっと下りだから、装備が重たい人たちでもお休みしないで帰れるねって思ってたんだけど、

「ルディーン君。できればこの辺りで一度休憩を取りたいのだが」

 川のそばを通ってる途中でバリアンさんがこんな事を言い出したもんだから、びっくりしたんだ。

「え〜、なんで? 帰りはそんなに大変じゃないでしょ?」

「いや、確かに登りほど体力を消費する事は無いのだが、重装備だと下りの方が足を炒めるリスクが高くなるんだ」

 バリアンさんが言うにはね、体が大きかったり金属の装備を着てる人たちは、その重さで下りの方が膝や足首をケガする人が多いんだって。

 それにここは川の近くだから、足元は土じゃなくって丸っこい石ばっかりでしょ?

 だから余計におケガをしやすいんだってさ。

「森の中を進めば休憩をはさむ必要はなくなるのだが、そうなると運んでいる箱が通れる場所を探しながら進むことになるから下手をすると倍以上の時間がかかってしまう。だからこの場合は休憩を入れてもらった方が助かるんだ」

「そっか。うん、解った。じゃあ平らなとこで一度フロートボードを消して、お休みしよ」

 と言う訳で、僕たちはちょっとの間、河原でお休みする事になったんだ。


「各自、休憩中も周りへの警戒は怠らないように」

 みんなでちょっとの間お休みする事にはなったんだけど、ここは森の中だからいつ魔物が来るか解んないでしょ?

 だからバリアンさんは、みんなに向かって周りの注意だけはちゃんとしてねってお願いしたんだ。

 そう言えばさっきベニオウの実を採ってる時もジャイアントラットが二匹、僕たちの方に寄ってきたもんね。

 結構歩いたからかなり森の外に近づいてはいるけど、それでもまだ奥の方だからもしかしたらバリアンさんが心配してるみたいにまた何か寄ってきちゃうかも?

 そう思った僕は、念のため探知魔法を使ってみる事にしたんだ。

「あれ?」

 そしたらね、僕たちがいるとこからちょっと離れてるとこなんだけど、知らない魔物がいっぱい居るって反応が帰ってきたんだよね。

 それに、これって……もしかしたら大変な事になってるかも?

「どうしたんだい、ルディーン君」

「あっ、ボルティモさん」

 だから僕、どうしよう? って思ってたんだ。

 そしたらその様子に気が付いたボルティモさんが、僕んとこに来てくれたんだよ。

「あのね、周りを調べる魔法を使ったんだ。そしたらあっちの方に、弱っちいんだけど僕の知らない魔物が10匹くらいいるっていう反応が帰ってきたんだ」

「知らない魔物? それで、その魔物たちはこっちへ向かって来てるのか?」

 だから遠くの方に魔物がいっぱい居る事を教えてあげたんだ。

 そしたらびっくりして、それがこっちに来るの? って聞いたもんだから、僕はううんって首を横に振ったんだ。

「そうか。10匹となると、こっちの倍だからな。それほど強い魔物じゃなくても、それだけの数が襲ってきたらかなり厄介な事になるところだった」

「ボルティモさんたちでも? だって、弱っちい魔物の反応なんだよ?」

「ああ。たとえ弱い魔物だったとしても、それだけの数だと場合によっては運が悪ければ大きなケガをする事になったかもしれないな。数が多いと言うのは、それだけで脅威になるんだ」

 ボルティモさんたちは、イーノックカウの冒険者の中では強い方だって言ってたよね。

 それなのに、もしこの魔物がこっちに来たら困るって言うんだもん。

 だったらさ、もしもっと少ない冒険者さんがその魔物たちに囲まれてたら……。

「大変だ! 僕、助けに行ってくる」

 そう思った僕は、慌ててその魔物たちがいる方へ走り出したんだ。

 だって返ってきた反応には、そこに3人の冒険者さんたちがいるって出てたのだから。


 あとは帰るだけだったのに、大事件発生です。

 多くの魔物に襲われる冒険者たち。そこへ助けに向かう主人公! まさに王道の展開ですね。

 それにルディーン君の実力だと、彼が弱っちいと表現した相手ならば一人で突っ込んでいっても何の心配もありません。

 ブルーフロッグの時同様、遠くからスリープで眠らせてしまえばいいのですから。(そんな展開にはしませんけどね)

 ただ、ルディーン君の護衛として同行している深緑の風の面々は……ああ、また胃に穴が開く大人が増えていくw


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